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死の棘 (日本・1990年) [少し面白かった映画]

 監督は小栗康平。
 原作は島尾敏雄。
 脚本は小栗康平。
 主演は松坂慶子と岸部一徳。
 精神を病んだ妻と、自由を求める夫。2人の幼い子供との4人暮らし。夫婦は破局の予感と、家庭の安らぎが交互におとずれる日々の中で、それぞれ葛藤し、苦悩する。夫は妻に、妻は夫に、不満を抱きながらも妥協したり、自我をむき出しにしたり。その繰り返し。2人の子供の存在が、〈子は鎹(かすがい)〉とはならず、危機をはらんだ夫婦関係に揺れ続ける。
 年々歳々、暗いストーリーの映画というのは、何となく気乗りしないで見る時が多い。この映画も、そうだった。
 昔、若い日に原作の小説『死の棘』を読んだ時は、小さな感動に包まれたと記憶している。当時の友人か親しい知人が、島尾敏雄が好きで、この本を勧めてくれた。そのためもあるかもしれない。
 もし、若くない現在、この小説を読んだら、感動はなく、こんな暗いストーリーの本なんて2度と読みたくないと思ったはず。
 二十歳をいくつか過ぎたばかりのOL時代のプラトニック・ラブの相手の男性は、子供はいなかったが、妻の精神の病について1度だけ語ったことがある。会ったこともないその女性と、『死の棘』の妻・ミホとを重ね合わせるようにして読んだかもしれない。
 小栗康平監督の『泥の河』は、やはり暗い話ではあるけれど、原作の小説と同様、感動した。
 けれど、この映画は、何となく、観ていて、気分的に暗くなるし、その夫婦生活を垣間(かいま)見るということさえ避けたくなるような感じだった。
 キャストの岸部一徳は個性的な俳優で、悪くはないけれど、作家・島尾敏雄をある意味で演じているのだが、
(こういうキャラクターも、あり、かもしれないけれど、う~ん、イマイチ)
 と、呟きたくなるのは、私のイメージと違うためかもしれない。
 松坂慶子は、わりと好きな女優で、この映画撮影時、30代後半。精神を病んだ妻という難しい役を演じきれているかどうかと言えば、ミホという女性への独自の解釈と、監督の指示や要望ということを含めて考えてみても、やはり、う~ん、イマイチという感じだった。
 とは言え、中断しないで最後まで観たくなる程度の、多少の面白さは感じた。
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草原の輝き (アメリカ・1961年) [少し面白かった映画]

 監督はエリア・カザン。
 原作はウィリアム・インジ。
 脚本はウィリアム・インジ。
 主演はウォーレン・ベイティと、ナタリー・ウッド。
 高校3年生のバッドとディーンは愛し合っているが、バッドの性的欲望をディーンは受け入れられずに彼の行為を拒絶。デートでキスはし合うが、それ以上の関係に進まず、2人は悩んでいる。バッドは、厳格な父親のせいで姉が家出し、自分も望まない将来の目的を父から期待されている。心の葛藤を、ディーンに癒やされたいのに、拒絶されてしまうので、他の少女の誘惑に負けてしまう。その事実を知ったディーンは激しいショックで河へ身投げし、救助されたが、精神を病んで入院生活を送ることになる。歳月が流れ、大人になった2人は別々の人生を歩む中、静かな再会を迎える。
 2人の主人公の愛と欲望と迷いが伝わってきて、ストーリーもそれなりに面白いが、大人になってからの再会シーンは、もの足りない感じ。バッドは父の期待にそむいた生き方を選び、外国人の妻と子供と平穏な暮らし。ディーンは精神の病気が治って、結婚前。その再会シーンで、今でも互いを忘れられないほど愛していると、熱烈な、狂おしい抱擁を、予想していたのに期待はずれだった。青春が終わって、平穏な人生を2人は選んだというような結末では、な~んだ、とでも言いたくなるような失望感を味わった映画。とは言え、やはり少年少女の恋と、大人の男女の恋は違うもの。
 若い日のウォーレン・ベイティと、ナタリー・ウッド。それなりの適役に感じられるけれど、可もなく不可もなく、というふうにも感じられた。

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大空港 (アメリカ・1970年) [少し面白かった映画]

 監督はジョージ・シートン。
 原作はアーサー・ヘイリー。
 脚色はジョージ・シートン。
 主演はバート・ランカスター。
 ローマ行き航空機内に、爆弾が持ち込まれたという通報。機長とスチュワーデスが、爆弾の入ったアタッシュ・ケースを必死で探すうち、犯人は爆発と同時に自殺。航空機に亀裂が入り、空中分解の危険を避けて、ケネディ空港に戻ろうとするが、猛吹雪のため空港は全機能が停止。機体に破損箇所ができたことで、乗客たちは酸素不足の苦しみに陥る。空港のジェネラル・マネージャーであるベーカースフェルドは、空港の機能維持を必死で探り、救難作業を行う。
 猛吹雪の中、機能しないコンピューターに、未曾有の危機に直面した、空港のジェネラル・マネージャーと機長とスタッフたち、さまざまな事情の乗客たちを描いていて、航空パニック映画としての、それなりの面白さがあった。
 ただし、現在はもっとコンピューターが進化しているから、もっと早く解決できたり、危機を回避できたりして、乗客の安全は保証されているような気がする。
 ジェネラル・マネージャーを演じたバート・ランカスターの存在感が、他の映画に較べて、やや薄く、もの足りなかった。

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ヒッチコック (アメリカ・2012年) [少し面白かった映画]

 監督はサーシャ・ガバシ。
 脚本はジョン・マクラフリン。
 主演はアンソニー・ホプキンス。
 大好きなアルフレッド・ヒッチコック監督が、どのように描かれているか興味を持った。
 けれど――。
 観始めて、すぐ、何となく失望。主役を演じるアンソニー・ホプキンスを見た時だった。嫌いな俳優ではないが、そう好きでもない。『羊たちの沈黙』(アメリカ……1991年)は適役で良かったが、他に何本か観た映画では、あまり印象に残るような面白さは感じなかった。
 体型を、ヒッチコック監督と同じようにしているが、独特の雰囲気が、全く出ていない。
 テレビでヒッチコック監督のドキュメンタリーを何本か観たので、そのせいかもしれない。
 アンソニー・ホプキンスの独自の解釈のヒッチコック監督、になっているかもと、少しは期待して最後まで観たが、やはり、もの足りない映画だった。ただし、伝記ドラマとして観るなら、夫婦の愛憎とか映画制作の資金難とか、興味深いシーンもあった。

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アルバート氏の人生 (アイルランド・2011年) [少し面白かった映画]

 監督はロドリゴ・ガルシア。
 原作はジョージ・ムーア。
 脚本はグレン・クローズ、ガブリエラ・プレコップ、ジョン・バンヴィル。
 主演はグレン・クローズ。
 19世紀のアイルランド。主人公のアルバートは高級ホテルのレストランで、ウェイターをしている。実はアルバートは女性で、男性を装っていたが、そのことを秘密にしていた。性同一性障害者ではなく、生活していくために、仕方なく選んだ道だった。すでに中高年だが、チップや給料からコツコツ貯めたお金をもとに、小さな煙草ショップを開業する夢を持っていた。
 アイルランドの映画は珍しいので興味を持った。最初、主人公は性同一性障害者と思い込んで見ていたら、そうではなかった。生きていくための手段で、いずれは女性に戻って人生をリセットするのかと思って期待した。けれど――。
 自分と同じように、男を装って生きているボイラー職人のジョーとの友人関係が、中途半端な感じで、もの足りなく、煙草ショップを開業して一緒に暮らしたい若いメイドのヘレンとの関係も、同じように中途半端な感じ。ラストは悲惨で、やや不自然なストーリーの結末に思えた。
 アイルランドの地図や気候を、時々、思い浮かべながら観ていたが、主人公にとっては救われることのない、暗いストーリーに感じられた。
 
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チャットレディ 偽りの代償 (イタリア・2014年) [少し面白かった映画]

 監督はミルカ・ヴィオラ。
 脚本はアンジェリカ・ガロ、アンドレア・タリアコッツォ。
 主演はアントニア・リスコヴァ。
 主人公は、大手企業勤務のアリーチェ。リストラで解雇され、知人女性たち3人に声をかけて、アダルトサイトを立ち上げる。ネットのウェブカメラに向かって、自分たちのセクシーな肉体を見せつけ、ビデオチャットで男性会員から利用料を払わせて稼ぐという事業だったが、予想外のトラブルが起こり始める。
 官能サスペンスのジャンルなので期待したが、ストーリーにスリリングなシーンや登場人物のキャラクターの面白さが欠けているため、もの足りない感じだった。

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スピード2 (アメリカ・1997年) [少し面白かった映画]

 監督はヤン・デ・ボン。
 脚本はランドール・マコーミック、ジェフ・ネイサンソン。
 主演はサンドラ・ブロック。
 主人公のアニーと恋人のアレックスが、休暇で豪華客船の旅行に出かけた時のできごと。乗客のガイガーは航海士を装い、船のエンジンを壊したり、操縦室に小型受信機を仕掛けて、船の自動操縦プログラムを自分のコンピュータに移す。ガイガーはこの客船のプログラムの設計者だったが、解雇されて以来、精神を病んでいた。船長を殺してしまい、船内に時限爆弾をセットして、あちこちで爆発が起こる。アニーの恋人のアレックスはSWAT(アメリカ警察の特殊部隊)隊員で、生命がけで危険な作戦を実行していく。
『スピード』(アメリカ・1994年)の続編のサスペンス・アクション。
 サンドラ・ブロックはコメディ・タッチのサスペンスで魅力を発揮する女優だが、この映画では存在感が希薄で、もの足りなかった。
 異常な精神状態の犯人との闘いのシーンは、それなりにサスペンスの面白さがあった。

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レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い(アメリカ・1994年) [少し面白かった映画]

 監督はエドワード・ズウィック。
 脚本はスーザン・シリディと、ビル・ウィトリフ。
 主演はブラッド・ピット。
 20世紀初頭。アメリカ北西部のモンタナの牧場主ウィリアム・ラドローは元騎兵隊大佐で、3人の息子がいる。妻は過酷な大自然を嫌い、街に住んで別居。ハーバード大で学んだ3男サミュエルが、婚約者スザンナを連れて帰郷。第一次大戦が勃発し、3人兄弟はヨーロッパに出征。サミュエルが戦地で死亡。トリスタンはスザンナと愛し合うようになる。歳月が流れ、スザンナと結婚したのは、事業家となった長男アルフレッドだった。
 3人兄弟から、それぞれの時期に愛されたスザンナ。彼女が心から愛したのは、次男のトリスタンだった、というストーリーだが、3人兄弟の人生ドラマが描かれている。同じ親のもとに育っても、それぞれ違う性格で、違う運命で、違う人生を生きた兄弟。1人の女性をめぐっての愛。父親から最も愛されたのは、優秀な息子でもなく、親思いで事業家として成功した息子でもなく、自由奔放に生きる反逆的な息子というところが面白かった。

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傭兵奪還 (アメリカ・2013年) [少し面白かった映画]

 監督はブライアン・A・ミラー。
 脚本はクレイグ・フェアブラス。
 主演はクレイグ・フェアブラス。
 主人公は傭兵のウォーカー。傭兵とは報酬をもらう条件で雇われた兵士のこと。
 仕事中だったウォーカーは、娘のサマンサの死を知らされ、安置所へ行く。遺体は娘ではなく、見知らぬ女だった。ウォーカーは娘が住んでいたアパートへ行き、部屋に遺されていた携帯電話の履歴にある、モースト・インダストリー社へ出向く。社長は、サマンサを知らないと答える。引き下がらないウォーカーと会社の警備員が揉めて乱闘に。警察に逮捕されたウォーカーは、間もなく釈放されるが、モースト・インダストリー社の社長に疑惑を抱き、真相を追求して行く。
 主演俳優が脚本を担当。やや荒削りな感じだが、それなりに面白いサスペンス・アクションだった。

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とらわれて夏 (アメリカ・2013年) [少し面白かった映画]

 監督と脚本はジェイソン・ライトマン。
 原作はジョイス・メナード。
 主演はケイト・ウィンスレット。
 主人公はシングル・マザーのアデル。夫に去られて、13歳の息子ヘンリーと暮らしている。ある日、スーパーマーケットで買い物中、脱獄犯が2人の眼の前に表れ、家へ連れて行って警察からかくまうよう強要される。そのまま居ついた脱獄犯フランクは、男手の必要な家事に協力したり、父の愛に飢えているヘンリーと親しくなって行く。
 脱獄犯を警察からかくまいながら、シングル・マザーの心が揺れて行く姿は描かれているが、3人のシチュエイションが、やや、ありきたりな感じ。結末も、もの足りない。フランクが、やがて逃亡するのか、警察に捕まるのかというスリルや緊張状態がもっと描けていたら、面白かったと思う。 

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