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あしたのパスタはアルデンテ (イタリア・2010年) [面白かった映画]

 監督はフェルザン・オズペテク。
 脚本はフェルザン・オズペテク、イヴァン・コトロネーオ。
 主演はリッカルド・スカマルチョ。
 主人公は作家志望の青年トンマーゾ。自宅のローマから、パスタ会社経営の実家で開かれる晩餐会出席のため、南イタリアへ。兄の新社長就任発表の晩餐会の前に、兄に秘密を打ち明ける。作家志望であること、ゲイであること、大学は経営学部ではなく文学部を卒業したこと。それらの秘密を親族の前で告白するつもりと。ところが、兄のアントニオが晩餐会で自分がゲイであることを告白。父が驚愕と激怒のあまり、心臓発作を起こして入院。トンマーゾは、秘密を告白しそびれて、実家に滞在することになってしまった。
 イタリア映画らしいというより、イタリア映画中のイタリア映画。イタリア映画の魅力を、たっぷり堪能できる面白い映画だった。父と息子の対立や、母親の苦悩、兄弟喧嘩、自分はゲイであることを隠し続けることになるトンマーゾの迷いや悩み、出版社に持ち込んだ原稿がボツになったり、ゲイの仲間たちがやって来たり、ラスト近くでは母親が、丹念なメイクをして好物のケーキを片っ端から食べた直後に自殺――など、主人公を中心に登場人物たちの内面も描かれて、予想外のストーリー展開の面白さ。決して暗くなく、ユーモラスなシーンあり、シリアスなシーンありで、テンポ良く淡々と進んで行くが、根底には家族愛もあるし、それぞれの愛の対象との関係や感情もきちんと描かれている。
 こんな面白い映画を撮影し、脚本も担当したフェルザン・オズペテク監督、58歳。トルコ出身の脚本家でもある監督で、イタリアに住み、ゲイであるということ。道理でと思われるほど、この映画で描かれるゲイの愛も内面も、決して特殊ではなく、ひとつの美しい愛のかたちと感じさせられる。
 主人公の作家志望青年を演じたイタリア俳優リッカルド・スカマルチョは、濃い顔立ちのイケメンで、その眼とまなざしの表現力は抜群。他のキャストもすべて良かった。
 邦題のアルデンテとは、スパゲッティの麺の中心部に芯が少し残っている茹で加減の意味、ということを知った。
 原題は『Mine vaganti』。何をしでかすかわからない危険人物、という意味らしいが、主人公始め、登場するすべての人物に言えることのような気がした。

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