So-net無料ブログ作成

卍 (日本・1964年) [面白かった映画]

 監督は増村保造。
 原作は谷崎潤一郎。
 脚色は新藤兼人。
 主演は岸田今日子と若尾文子。
 主人公の園子は上品でしとやかな人妻。小悪魔的な魅力の光子と惹かれ合い、心身共に愛し合うようになる。園子の夫の弁護士・柿内孝太郎は妻の愛に満たされず、やがて女同士の2人が愛し合っていることに気づく。嫉妬と妄想にかられ、苦悩しながら柿内孝太郎は、光子に惹かれていく。妻の園子への愛も変わらないため、妻と光子から翻弄されるような日々が続く。やがて3人は睡眠薬自殺を図るが、園子だけが生き残ってしまう。
 芸術作品と言える数少ない日本映画。文芸映画が得意な増村保造監督、独特の魅力を持つ2人の女優、さらに原作の面白さもあるが、何より脚色の素晴らしさに感動させられた。
 作品リストを見ると、脚本家でもあった新藤兼人監督が、脚本・脚色を多く担当していた時代。その後も監督・脚本を担当しているが、より多く書いていたころ。全く無駄のないセリフ、刺激的で衝撃的なセリフや、キャストの表情・しぐさ・表現、効果的な場面展開や背景など、どこまでも詩的で文学的で現実離れしているのにリアリティに満ちたそれらに、その世界に、いつの間にか呑み込まれてしまう、溺れてしまう、酔わされてしまうような気がするほど。
 谷崎潤一郎原作の映画は何本もあって、ストーリーや登場人物たちの面白さや、俳優の魅力が引き出されている作品が多いと感じるが、映画としては、この『卍』が一番素晴らしい、最も深い味わいのある芸術作品だと私は思う。 

tentoumusi.png


共通テーマ:映画