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イノセント (イタリア・1975年) [感動させられた映画]

 監督はルキノ・ヴィスコンティ。
 原作はガブリエーレ・ダヌンツィオの『罪なき者』。
 主演はジャンカルロ・ジャンニーニと、ラウラ・アントネッリ。
 20世紀初頭のイタリア貴族社会を背景に、男と女の愛憎、裏切り、嫉妬が描かれていく。
 ルキノ・ヴィスコンティ監督の遺作となった映画。単なる愛欲ストーリーではなく、男と女の本質、本能、その違いが深く掘り下げられ濃密に描かれていて、心身共に感性を熱く揺さぶられるほど素晴らしい映画である。
 官能的で魅力的な未亡人に溺れ込んでいく裕福な貴族の夫役を演じたジャンカルロ・ジャンニーニも、妹のように愛していると夫から告げられ、孤独な心が不倫相手と出会って愛し合い妊娠する妻役のラウラ・アントネッリも、適役中の適役という感じの素晴らしさ。男の本質、女の本質を、これ以上濃密に繊細に鮮烈に描けないと思われるほどの独特のヴィスコンティの世界──。
 日本では1979年公開のこの映画を、昔、映画館で観ている。ルキノ・ヴィスコンティ監督作品との、初めての出会いだった。それまでも古いイタリア映画を観て感動させられることが多かった。けれど、人生や人間を描き、運命や宿命や悲恋や哀愁が描かれたそれらの映画と、全く違うと感じられ、
(こういうイタリア映画がある……!)
 と、衝撃を受けたものだった。特に印象に残っていた何箇所かのシーンを観た時、昔よりもっと深い感動に包まれて胸が熱くなった。今月初旬、この映画を観たのは、イタリア文化会館の上映会でだった。映画館の巨大スクリーンも音響効果もないにも拘(かか)わらず、今回のほうが感動したのは、この映画の素晴らしさであり、何十年経って私の感性にも変化があったということかもしれない。昔はクラシック音楽をあまり聴かなかったが、テーマ音楽にショパン、モーツァルト、リストの名曲のタイトル名を、プリント・チラシで知った。オペラのグリュック作曲『オルフェオとエウリディーチェ』のアリアも。
 ヴィスコンティ作品を観た後は、いつもそうだが、感動の余韻がずっと胸を熱く揺さぶっていて、帰宅の電車の中で友人に感想メールを書いたほどだった。記録的な大雪となった日の午後だった。

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