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近松物語 (日本・1954年) [陶酔させられた映画]

 監督は溝口健二。
 原作は近松門左衛門。
 脚本は依田義賢。
 主演は長谷川一夫と香川京子。
 主人公のおさんは、裕福な大経師内匠の当主である以春の若い後妻。実家の兄の借金の工面を夫に頼めず、手代の茂兵衛に打ち明ける。茂兵衛は、おさんを助けたくて、主人の印判で取引先から借りようとしたが、発覚して以春の怒りをかい、監禁される。おさんと茂兵衛は共に逃亡し、互いの心を知って不倫の恋が燃え上がる。逃亡先で引き離されてしまうが、別れて生きて行けない2人はふたたび逢い、やがて姦通罪で市中引き回しの刑に罰せられる。
 10数年前にテレビで、溝口健二監督の特集番組の映画を、立て続けに観て感動した映画の1本。
「私は絵巻物のような映画を作りたい」と語ったという溝口健二監督の言葉は印象的。観始めたら映像から一瞬も眼が離せなくなってしまうほどの物語の描き方、人物の描き方に独特な魅力が感じられる。人間の内面、心の奥、その深い心情をこれほど濃密に描ききれる日本人監督は他にいないような気がする。また、これほど日本の映画作品を芸術に高めた映画監督も他にいないような気がする。
 この映画は3度観たが、2度目も3度目も初めて観た時と同じ感動と陶酔に包まれ、溝口健二監督作品の素晴らしさをあらためて感じさせられた。

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