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ひまわり (イタリア・1970年) [陶酔させられた映画]

 監督はヴィットリオ・デ・シーカ。
 脚本はチェザーレ・ザヴァッティーニ、アントニオ・グエラ、ゲオルギ・ムディバニ。
 音楽はヘンリー・マンシーニ。
 主演はマルチェロ・マストロヤンニと、ソフィア・ローレン。リュドミラ・サベーリエワも出演。
 第2次大戦時代のナポリ。若い男女のアントニオとジョヴァンナは愛し合い、結婚式を挙げたが、夫が徴兵を逃れようとした罰で、厳寒のソ連戦線に送られてしまう。
 歳月が流れ、ジョヴァンナはアントニオの行方不明の通知を受け取るが、生きていると信じて夫を捜しに行く。
 やがて、2人は再会するが、それぞれ家庭があった。
 この映画は、好きで好きで、何度観たかわからない。10回は観ていないが、5回以上。
 何度観てもラストで涙があふれてしまう。初めて観た時の感動が、少しも薄れない。何て素晴らしいイタリア映画と、感動の余韻がずっと心を熱くしている。
 観るたびに、あるシーンのディテールに気づかされたりする。たとえば、歳月を経て2人が再会することになったシーン。ジョヴァンナが、新婚の日にアントニオからプレゼントされたイヤリングを探すシーンである。もうすぐ、アントニオが家にやって来る。愛の思い出のイヤリングが、なかなか見つからず、あちこちの引き出しを開けて探す。
 そのシーンで、ジョヴァンナの家庭生活が幸福だということが感じ取れる。もし、不幸で、今もアントニオへの愛だけに生きているなら、プレゼントのイヤリングはどこにしまってあるか、すぐに取り出せるはずだからだ。イヤリングを探すジョヴァンナの心理も、歳月の流れも感じさせられるが、そんなことも気づかされて、脚本の素晴らしさにいっそう感動する。
 その再会の夜のシーン。大雨で、停電。薄暗がりの中での再会。お互いに暗いほうがいいでしょうとジョヴァンナは呟く。やがて、ろうそくをつける。さらに、電気の明かりがつく。少しずつ、相手の容貌に、若さが失われたことを知る。それでも、愛は消えていない。その愛を確かめようとする時、ジョヴァンナの子供が隣室で泣き出す。子供のベッドへ行くジョヴァンナ。名前は? とアントニオは聞く。アントニオ、と即座に答えるジョヴァンナ。ぼくの名前を? 違うわ、聖アントニオのアントニオよ。ジョヴァンナはそう答える。この会話のやり取りの素晴らしさ! 本当は愛し続けた男の名前──と、そのシーンでは決まって胸が熱くなる。
「どうして、こんなことになってしまったんだろう」
「わからないわ」
 この会話も印象的。戦争によって変えられてしまった男女の運命。変えられなかった愛。歳月の流れの残酷さ。
 印象的なシーンが他に何か所もある脚本の素晴らしさ! テーマ音楽の美しさ! ヴィットリオ・デ・シーカ監督の映画は、男女のせつない愛、相手に心が伝わりきれないもどかしさ、愛の深さ、どうしようもない人間の心が描かれている映画が多いような気がして、好きな監督である。

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