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愛欲の港 (スゥェーデン・1948年) [不思議な味わいの映画]

 監督はイングマル・ベルイマン。
 船員をしていた青年ヨスタが、港で沖仲士になって働くうち、若い女性ベリトと知り合う。工場で働くベリトは、少女時代に感化院で暮らしていた過去がある。母親とも不和であり、仕事にも嫌気がさし、愛も希望もない生活は不幸だった。港で投身自殺を図り、ヨスタに救われる。2人は恋人同士になるが、ベリトが過去を告白したことで、心が離れていく、というストーリー。
 観終えてみると、『愛欲の港』というタイトルは、少し違和感があるような……。若い恋人たちにも、何故か、若さがあまり感じられない。 
 それに、この映画は、すべてにおいて暗い。登場人物たちのそれぞれのキャラクターも暗い、描かれた世界の雰囲気も暗い、セリフも暗い、ストーリーも暗い、人物設定も暗い、過去の描写も暗い、男女関係の愛も暗い。本当に何もかも暗いだらけの映画である。暗過ぎて救いようのない映画と言いたくなるような、それでもラブ・ロマンスである。
 愛の歓びは束の間、失望、裏切り、怒り、憎悪、後悔、孤独、自暴自棄……と、そんな心情に、感情移入することさえ避けたくなってしまうような……。
 それでいて、最後まで観てしまいたくなるのは、イングマル・ベルイマンの独特の世界には、やはり不思議な味わいを私は感じてしまうからだと思う。
 ラストシーンで、ようやく、恋人たちの希望が見い出せることで、初めて救われたような気分に包まれた。