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ミュリエル (フランス・イタリア合作 1963年) [不思議な味わいの映画]

 監督はアラン・レネ。
 若い青年である養子ベルナールと二人暮らしをしている未亡人のエレーヌは、過去の恋人アルフォンスに会いたいと手紙を書く。
 バーのマネージャーをしているアルフォンスは、姪と偽って若い愛人フランソワーズを連れて、未亡人の家を訪問する。
 エレーヌの家で暮らすことになった二人。
 養子のベルナールは、失った恋人ミュリエルが忘れられず、恋人のマリーと過ごす時だけ、心の安らぎを得ている。
 エレーヌはアルフォンスと再会しても、自分で自分の心がわからない。
 若いフランソワーズは、中年の愛人と別れて一人になりたい。
 ——というような、特に男女のドラマもなく、ストーリーらしいストーリーもない、それでいて最後まで観たくなるような、不思議な味わいの映画である。
 人生を投げ出して生きているようなニヒリスティックな時間と、現在の生活とは別の世界を憧れるような、希望を見い出す時間が、登場人物たちに交互におとずれる、そんなムードが漂っている。
 BGMも、ちょっと不思議な味わい。
 ラストシーンに歌が流れる。その歌詞が、とてもいい。

  人はみんな 自分を見失い 人生を複雑にする 
  その軌跡は 肉体の仮の姿か 夢の実現か 迷いか 
  あらしの前に 日の光を浴びて眠ろう

 生と死、現実と夢、心の迷いを捨てきれない人間を、何か暗示的に表現した詩のような——。